sandbagといえば、いうまでもなくボクシングで使う「サンドバッグ」もしくは「土嚢」ですね。
 
 
 

 
これが動詞として使われるとどんな意味になるでしょうか?
 
同時通訳士・松下佳世さんが、編著書「同時通訳者が『訳せなかった』英語フレーズ」でその用例を紹介されていました。


同時通訳者が「訳せなかった」英語フレーズ(Amazon)


私の予想としては、目的語を伴って「〇〇をボコボコに殴る」といった意味かな?と単純に考えたのですが…。
 
同書の48~49ページから一部を抜粋します。(この本はとても面白いですよ!)

罵り合う男性二人「He sandbagged me」

使われた状況はなかなかヘビーだったようです。

とある仲裁案件でのこと。この事案は某事業に関係する二人が対立し、終始ののしり合う状況が続いていました。
 
人目をはばからず激しく言い合う2人。一方が相手方を非難する言葉の中で、「あなたは信用ならない」という一例として出てきたのがこの表現、He sandbagged me.でした。
 
(中略)
 
この両者が一緒に賭けゴルフをしたときの話。非難している側は、相手がスコアをごまかして、お金を巻き上げようとした、そういう人物なんだと、まくしたてます。
 
そもそもゴルフで賭けをすること自体問題ですが、それに加え、スコアまでごまかしたのだと相手を責め続けます。
 

こういう場面で使われるので、やはりポジティブな意味ではなさそうです。

改めて辞書を確認してみると、動詞のsandbagの意味としては、「意図的に相手をあざむく」「実力を隠す」「弱いふりをする」などが出てきました。
 
なるほど、係争中であれば、sandbagという単語を用いることで相手方の信用を失わせる効果は確かにありそうです。
 
対立する場面で、言葉の威力を最大限に生かそうという狙いを感じました。

動詞のsandbagには「弱いふりをして自分の利益を得る」含みがあるようです。
 
何かの競技で初心者部門に実力者が参加する、といった状況ですね。「逆ブラフ」という語を当ててある解説もありました。