このコンテンツでは、同時通訳士・松下佳世さんの編著書「同時通訳者が『訳せなかった』英語フレーズ」から、dumb it downについて紹介します。
パッと聞いただけではdumbの強烈さが印象に残りますが、意味を聞くとなるほど、と感じるフレーズです。
同書の40~41ページを参考にしています。(この本はとても面白いですよ!)
専門用語がわからず大ピンチ→話者「let me dumb it down」
松下さんが通訳を始めて間もない頃、IT技術関連の会議通訳を前準備なく、いきなり任されることがあったそうです。
当然IT関連の専門用語が連発されるのですが、松下さんには全く理解できません。
情報も一切ないまま、問答無用で通訳開始です。耳をダンボ(Dumbo)にして必死に聞く者の、背景知識もなく1ミリもわかりません。
しかも日本人の大半は頷きながら聞いていて、話が見えていないのは通訳者だけの様子。
スピーカーがさあ訳してと目配せしてきますが、マイクを持って硬直状態で、言葉が出ません。
松下さんにとってはなかなかのピンチです。
するとスピーカーがこういったのです。
Oh, let me dumb it down.
それ以降、うって変わったかのように話の流れが見え始め、上出来とは言えないながらもなんとか最低限の任務を終えたのでした。
これはどういうことなのでしょうか?
Dumbな筆者向けにレベルを落として話してくれたのだと思い、プレゼン後にお礼を言いに行きました。すると逆に「ごめん、うっかりしてたよ」と謝罪されたのです。
「常駐の通訳者が出払っているので、今日は初めての通訳者が入るから留意して話すように」と釘を刺されていたとのこと。
Dumb it downに見下す意図はなく、「専門用語を避けてわかりやすく説明する」というカジュアルな表現だったのです。
ちなみにdumbphoneという表現もあり、これは旧式のガラケーなどsmartphoneに比べて機能が少ないタイプを指します。
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